ホラクラシー組織の概要。人体、幻影旅団、都市との類似点

ホラクラシー組織とは?人体、幻影旅団との類似点

株式会社FUSSYは、基本的な組織プロトコルをホラクラシー憲法にしており、自律分散的な組織づくりを志向しています。創業者の加留部と共同創業者の矢田貝が、別々の会社でホラクラシー組織を経験しているという稀有な体験からはじまっています。

ただ、「私たちがホラクラシーだったから」という理由だけでなく、事業を成長させるためのスケーラビリティ、組織崩壊をなくすためのリスク観点、など極めて合理的な観点でホラクラシーを選択しました。

また、一部「急成長しなければいけないスタートアップ」として存在するために憲法をプロトコルによってオーバーライドしています。

この記事では、ホラクラシーとは何か、どんなものなのかの解像度をあげるためにホラクラシー組織を他のもので例えてみます。

そもそもホラクラシー組織とは

「ホラクラシー組織」という組織形態をこの記事で初めて目にした人もいるのではないでしょうか?ホラクラシー組織は2007年にブライアン・J・ロバートソン氏が提唱した組織の形の名称です。ティール組織の一部であると言えます。

2024年5月時点での組織図

海外ではザッポスなどの大企業を始め、ホラクラシー組織を管理するSaaSがあるほどの市場があり、日本でもスタートアップをはじめとしGMOクラウドさまなどが導入しています。

ホラクラシー組織とは何か?という問いに引用して簡単に答えると、下記のような説明をしています。

ホラクラシー組織とは、従来のヒエラルキー型・ピラミッド型組織とは異なり、役割(ロール)によって紐付けられたグループが能動的に活動する自主管理型組織の名称です。

ホラクラシー組織を例える

人体とホラクラシー

個人的には、ブライアン・J・ロバートソン氏がホラクラシー組織を“人間の人体”に例えた表現を気に入っています。

基本的な組織構造はトップダウン型の指揮系統をとっていることが多いかと思います。つまり、ピラミッド型に組織図が組まれ、上位のポジションほど「偉くなっていく」構造です。一方で、人体は分散型のシステムにより、各器官がメッセージを送ったり、受け取って対応したりしています。そして、それぞれが機能を持ち、その機能がきちんと回るための仕組みを作る権限があります。

例えば、下記のようなケースをイメージしてみてください。

  • 白血球が病気を感知した場合に、脳に情報を送り、抗体を作る許可が出るのを待たなければいけないとしたら?

  • 足の皮膚を擦りむいてしまい出血した場合に、脳の組織に情報を送り、傷口を治す指示が出るのを待たないといけないとしたら?

人間にはピラミッドの頂点、のようなものはなく人体の異変に対して各々の機構が対応します。上記の場合、もし脳に問題があったり寝たりして意識がない場合、抗体は作られず、血は出っ放しになります。(寝てる間に死にそう…)報経路は複雑で意思決定の時間が長くなり、脳の仕事は増え、許可が出なれければ対応されません。悲しい。脳に放置される傷口の気持ちやいかに。だいぶリスクが大きそうな構造に思えます。

これと同じことがヒエラルキー・階層型の組織構造で起き得ていると考えられます。よくこんな話は聞きませんか?

  • 権限が不明瞭:誰が何について権限や決済があるか言語化されておらず、不明瞭。わからないので、とりあえずたくさんの人が集まり、ミーティングをし、長い時間をかけてミーティング参加者全員が合意形成を取るので意思決定のスピードが落ちる。もしくは、全ステークホルダーにとってリスクのない施策しか実行されないので、意味がない。

  • 暗黙の期待:となりの部署から依頼された業務が多くなり、本来自らがフォーカスするべき業務が蔑ろになる。当人とすれば、自分の役割をまっとうして評価を受ける必要があるが、役割にはいっていない業務を周囲から受けてしまい効率が落ちる。もしくは周りの効率を落とす。

  • 上司の「攻略」:あなたの業務は基本的に上司の「許可」が必要で、そもそも上司のスケジュールが埋まっていて、コミュニケーションする時間が取れない。結果、意思決定のスピードが落ちる。あるいは、上司と異なる意見を持っている場合、上司を説得する必要がある。

これらの問題はがホラクラシー憲法にあるルールやプロセスで大きく改善できる可能性があるのは、ホラクラシー組織の経験者として間違いないと言えます。このルールやプロセスについてはまた詳細でお伝えしますが、説明されている他記事を紹介させていただきます。

これらの課題は、どれも組織構造だけに起因して起こる課題でもないでしょう。例えば30人未満のスタートアップではCEOの権限が大きいのはやむを得ないでしょう。また、ホラクラシー組織は従来型の階層型組織を否定しているものではありません。

幻影旅団とホラクラシー

さて、エンタメ企業らしく漫画の世界でホラクラシーを例えてみます。HUNTER×HUNTERで登場する盗賊集団”幻影旅団”、通称、旅団(クモ)です。知らない人はまずは漫画を読むことをお勧めします。もうすぐ完結するに違いありません!!小学生の時の憧れの組織でした。私の厨二病を加速させた罪を持つ犯罪者集団でもあります。

幻影旅団とホラクラシーの共通点は下記です。

  • 役割の明確化:蜘蛛では、明確に役割が決められており、団員はその役割を全うすることが求められます。リーダーの団長もあくまでも役割であり、死んだら役割を受け継げばいいという考えを持っています。また、戦闘担当、情報処理、特殊工作などに分かれており、ロールごとの人材の希少性まで決められています。

  • 目的を共有して手段を任せる:また、役割をまっとうすることに手段の注文をつけません。ここらへんは攻殻機動隊とも似ていますね。目的が達成されればOK、自律的に動こうという考えです。ホラクラシーでも自律的に目的に向かって各ロールは自律的に動くことが求められます。(アカウンタビリティにより、責務が明確になることもあります。)

  • 統合的意思決定のプロセスが明確である:ホラクラシーではタクティカルミーティングとガバナンスミーティングによって統合的意思決定のプロセスが整備されており、それをファシリテーションする役割がいます。旅団でもこのプロセスが決められており、「団員同士のマジキレ禁止」というファシリテーション機能、そして意見が合わなかった時はコイントスで決めるという合議プロセスを持っています。

ルールがあるのは、意思決定を早めたり、目的に向かう努力や動きをするためという視点はかなり共通の価値観かと思います。よく、「ルールがない会社」が良いと言われますが、性善説で考えて正しい動き方をできるように最低限のルールを定めていくのが日本では良いのではと私は支持しています。ルールがない=自由でもないですしね。

街とホラクラシー

もう一つ、ホラクラシーを例えてみます。都市の成り立ち方です。ある町に住んでいる人がいたとします。そこに小児科がないと仮定しましょう。大問題ですね。こどものいる家庭で、急に風邪にかかってしまうと近場の病院に連れていくことができません。

これは、ホラクラシーでいうところの歪み(Tension)に該当します。Tensionとは、現状と理想の間にある解決するべき問題や機会損失のことです。

小児科がないとなったら、必ずその問題を解決しよう、もしくは機会を活かそうと病院がオープンするでしょう。

街にはそのようなTensionが多数存在し、イタリアンがないからイタリア料理のお店をオープンする、24時間空いているジムを建てるなど自律的に(ある意味「利己的に」)それぞれが連携なく進化していきます。

ホラクラシーでもサークルやロールの目的を達成するために、このTensionを認知し解決していくことが求められます。

まとめ

ということで、今回はホラクラシーの解像度を上げるために、他のもので例えてみました。またFUSSYでの詳細な運用方法や思想なども取り上げていきたいと思います。

興味がある方はぜひ、Discordにもいらしてください。